「らんらんるー」というフレーズに、聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。かつてマクドナルドのCMでドナルドが使っていたこの言葉は、単なる挨拶としてではなく、ネガティブな意味を持つこともあります。本記事では、「らんらんるー」の意味から、その言葉にまつわる誤解、いじめへの波及までを整理してご紹介します。
らんらんるーとは何か
「らんらんるー」という言葉は、どのように生まれ、どう広まっていったのでしょうか。
ドナルドのセリフとして登場
「らんらんるー」は、マクドナルドのイメージキャラクター・ドナルドが嬉しい時に発する口癖として、2000年代半ばのCMで登場しました。具体的には2004年~2007年ごろに放映された「ドナルドのウワサ!」シリーズ内で使われており、「らんらんるー」は特別な意味を持たない単なる決め台詞として紹介されています。
ポーズの意味と元CMの内容
フレーズには動きもセットになっており、「ラン」で肩に手を置き、「ラン」で手を合わせ、「ルー」で手を高く挙げるという簡単なポーズです。シュールな演出で、真っ白な背景の中ドナルドがこの言葉とポーズを披露するCMが話題を集めました。「嬉しくなると、ついやっちゃうんだ」と笑顔で呼びかける姿が印象的です。
らんらんるーの本来の意味
本来の「らんらんるー」は、子どもたちに向けた楽しい言葉として使われていました。
「嬉しくなると、ついやっちゃうんだ」
CM内でドナルドは、「らんらんるー」の意味を「嬉しくなると、ついやっちゃうんだ」と説明しています。つまり、楽しい気分を表す言葉であり、特別な意味や裏の意図はありません。ポジティブな感情を共有するための言葉として子どもたちに向けて発信されました。
日本限定CMと子ども人気
このフレーズが登場したCMは日本限定で、当時の子どもたちの間では真似されるなど人気を博しました。2008年には「ポケモンランランルーラー」という定規がハッピーセットの景品になるなど、影響力は広範囲に及びました。
らんらんるーが怖い意味になった理由
ポジティブな意味だった「らんらんるー」が、なぜ怖い言葉として広がってしまったのでしょうか。
MAD動画での暴力的演出
ネット上では、ドナルドのキャラを使ったMAD動画(ユーザー編集によるアニメーション)が流行。MAD動画では「らんらんるー」が爆発や攻撃の直前に叫ぶ必殺技のように描かれ、言葉の印象が大きく変化しました。
特に「嬉しくなると、ついやっちゃうんだ」が「つい、〇っちゃうんだ☆」に改変され、直後に「らんらんるー」と叫ぶ構成が広まり、暴力的な印象が定着していきました。
「〇ね〇ね消えろ[」という解釈の広がり
ネットでの二次創作の影響により、2010年ごろには「らんらんるー」の意味が「〇ね〇ね消えろ」という解釈として小学生の間で使われるようになります。当時のYahoo!知恵袋や掲示板でも「怖い意味がある」とする話題が多く見られました。
小学生の間では、この言葉が悪口や呪いのような形で使われ、「先生に言ったら怒られた」「学級会で取り上げられた」という実例も多数存在しています。
逆再生空耳や都市伝説の影響
言葉を逆再生すると「アンパンマンがつまらん」と聞こえるという空耳や、マクドナルドにまつわる都市伝説(人肉説、ドナルド殺人鬼説)も加わり、「らんらんるー」の意味に関する解釈から、不安感や恐怖心を後押ししたと考えられています。
らんらんるーがいじめや禁止の対象となった背景
子どもたちの間で「らんらんるー」が誤解され、学校や家庭でも問題視されるようになります。
「チクチク言葉」としての扱い
「らんらんるー」の意味が誤って解釈された結果、相手を傷つける「チクチク言葉」として扱われるようになりました。特に「〇ね」「消えろ」といった攻撃的な意味合いがあると認識され、小学校ではいじめの温床となる可能性があるとして問題視されます。
学校での禁止や保護者の対応
多くの学校では「らんらんるー」を禁止用語とし、使用しないよう指導が行われました。中には「ファックユー」と並んで注意喚起されている学校もあり、ある小学校の学校だよりで“保護者からの声”として取り上げられたケースも確認されています。
保護者に対しても「言葉の使い方を家庭で指導するように」との呼びかけが行われ、の言葉で傷ついた子どもの声も取り上げられています。単なる言葉でも、受け取る側にとっては強いダメージとなることがあるので注意が必要です。
マクドナルド側の反応
日本マクドナルドは、こうした「らんらんるー」の負の意味の拡散に伴い、一定の対応をとっています。
あるテレビ番組が「らんらんるー」の動画について日本マクドナルドに聞いてみた時の返答によると、拡散されているMAD動画はマクドナルドが作ったものじゃないと否定。そして「らんらんるー」という言葉がいじめに使われてしまうことがあるので、テレビで紹介するのは遠慮してほしいとお願いされたそうです。
マクドナルドとしても、この言葉が良くない使われ方をしていることを認識していて、公式動画と混同されないようにする姿勢が伺えます。ドナルドは現在も教育イベントなどで活動を続けていますが、CMでの姿を見かけなくなった背景には、こうした社会的文脈の変化が関係しているのかもしれませんね。
「ホバーランランルー」とは何か
「らんらんるー」から派生した言葉として、「ホバーランランルー」という表現も話題となりました。
意味の推測と派生語としての使用
「ホバーランランルー」は、「らんらんるー」の派生語とされ、小学生の間で使われることのある言葉です。「ホバー」は「アホバーカ」の略とも、「フォーエバー」が訛ったものともされており、「永遠に消えろ」といった強い悪意を含むと解釈されています。
その結果、「ホバーランランルー」も「いじめ言葉」として扱われるようになっています。
いじめとの関連性
一部の小学校では、「みんなでなくそうチクチク言葉」のポスターなどに、「ホバーランランルー」が掲載され、「言ってはいけない言葉」として周知されています。言葉の内容がいかにネガティブな意味を持ち、子どもたちの間で実際に使われているかを物語っています。
まとめ
「らんらんるー」の意味は本来、楽しい気持ちを表すための言葉でしたが、ネットや子どもたちの独自の解釈により、誤解され、時にいじめのツールと化してしまいました。
言葉は使い方次第で意味が変わり、傷つけることもあれば笑顔を生むこともあります。誰もが安心して言葉を交わせるように、本来の意味を理解し、大切に使っていくことが求められています。