乃が美の閉店が続く理由は?FCトラブルの噂や今後の存続について調査

かつて「高級食パンブーム」の火付け役として一世を風靡し、行列が絶えなかった「乃が美」。しかし近年、店舗の閉店ラッシュが続いており、その勢いに陰りが見えています。なぜ、これほどまでに急速に失速してしまったのでしょうか?

この記事では、FCトラブルの真相や市場環境の変化など、乃が美の閉店が続く理由について詳しく解説します。

全国で相次ぐ「乃が美」閉店の現状

一時期はテレビやSNSで見ない日はないほど注目を集め、手土産の定番としても重宝されていた高級「生」食パン専門店の乃が美ですが、最近では街中で看板を見かける機会も減ってきましたよね。実際にデータを見てみると、その減少ぶりは明らかです。ピーク時には全国で240店舗以上を展開していましたが、2023年末の時点では116店舗にまで激減しています。

ブームの終焉だけじゃない構造的な問題

多くのファンを魅了したブランドに一体何が起きているのか、その背景には、急激な事業拡大に伴う歪みや、内部で抱えていた構造的な問題が複雑に絡み合っているようです。成功したビジネスモデルが崩れ去るプロセスには、私たちが学ぶべき教訓も多く含まれています。

ここからは、具体的な問題点を深掘りし、乃が美の閉店が止まらない本当の理由について一つひとつ見ていきましょう。

希少性の喪失と「どこでも買える」ジレンマ

かつて乃が美の食パンを手に入れるためには、事前の予約や長時間の行列が必須でした。「なかなか手に入らない」という特別感が購買意欲を掻き立てる魅力だったとも言えます。しかし、その成功を受けて乃が美は急速な全国展開へと舵を切りました。2020年には47都道府県すべてへの出店を達成し、一気に身近な存在となりましたが、この戦略が皮肉にもブランド価値を大きく損なう結果を招いてしまったのです。

「いつでも買える」が価値を下げてしまった?

「近所でいつでも買えるパン」になったことで、消費者の中にあった「特別な日のためのプレミアムな食パン」という認識が薄れてしまいました。希少性が失われれば、わざわざ高いお金を出して買う動機も弱まってしまいます。成功するための拡大戦略が、逆にブランドの寿命を縮めてしまうという「拡大のジレンマ」に陥ってしまったのです。

店舗が増えれば売り上げは一時的に伸びますが、ブランドとしての輝きは失われ、結果として客足が遠のくという悪循環が生まれてしまいます。

フランチャイズ(FC)オーナーの悲痛な叫び

乃が美の急激な店舗拡大を支えたのは、全国に展開された「はなれ」と呼ばれるフランチャイズ(FC)店舗の存在でした。しかし、このFCシステムを巡っては、本部と加盟店オーナーとの間で深刻な溝が生まれています。

驚くべきことに、乃が美の公式サイトでは「今後ともフランチャイズビジネスには手を染めず」という趣旨の文言が掲載されていた時期があり、実態としてFC展開を行っているにもかかわらず、公式にはそれを否定するかのような矛盾した姿勢が見られました。

「9割が赤字」という衝撃的な証言

ブームの終焉とコロナ禍が重なり、客足が途絶え始めると、多くのFC店舗が経営危機に直面しました。あるFCオーナーからの悲痛な訴えによれば、売り上げの減少に伴い「9割の店舗が赤字」という壊滅的な状況に陥っていた時期もあったそうです。中には毎月1000万円もの赤字を出し、ロイヤリティーの支払いのために借金を重ねるオーナーも存在したといいます。本部に対してロイヤリティーの引き下げ交渉を行っても拒否されるなど、現場の苦境が顧みられない体制に対する不満が爆発し、多くの店舗が撤退・閉店を選択せざるを得なくなりました。

泥沼化する「1円訴訟」の真相とは?

本部と加盟店の対立は決定的なものとなり、ついに法廷闘争へと発展しました。ある元FCオーナーが乃が美を相手取り損害賠償を求めたのですが、その請求額がわずか「1円」であったことが世間に大きな衝撃を与えました。なぜ、多額の損失を被っているはずのオーナーが、たった1円の賠償を求めたのでしょうか。

そこには、金銭的な解決以上に「どうしても世間に知ってほしい真実」を暴きたいという、原告側の強い意志が込められていました。

研修生を利用した「数字のマジック」

この裁判で最大の争点となったのは、FC契約の勧誘時に示されたシミュレーション資料の信憑性でした。原告側の主張によると、モデル店舗として提示された麻布十番店のデータには、人件費率が「17.6%」と記載されていました。しかし、実際に店舗運営を始めてみると、人件費が売上の35%を下回ることは一度もなく、提示された数字と現実には大きな乖離があったのです。

この低い人件費率のからくりは、モデル店舗で人件費のかからない「研修生」を労働力としてカウントしていたためだとされています。

競合他社の乱立と「高級食パン」のコモディティ化

乃が美が市場を開拓した後、類似のコンセプトを持つ高級食パン専門店が乱立しました。「ふわふわの食感」や「甘みのある味わい」といった特徴は、もはや乃が美だけの専売特許ではなくなり、業界全体の標準スペックとなってしまったのです。

これをマーケティング用語で「コモディティ化」と呼びますが、消費者の目には「どこの高級食パンも似たようなもの」と映るようになってしまいました。こうした他社との差別化の難しさも、乃が美の閉店が相次ぐ理由の一つと考えられます。

創業の原点と現在のギャップについて

ここまで厳しい現状を見てきましたが、創業時のエピソードを知ると、現在の状況がいかに皮肉なものであるかが分かります。もともと創業者は「高級なパン」を作ろうとしていたわけではありませんでした。老人ホームで聞いた「パンの耳が固くて食べられない」という高齢者の声や、卵アレルギーを持つ我が子に「美味しくて安全なパンを食べさせたい」という切実な親心から、卵を使わず耳まで柔らかいパンを開発したのです。800円という価格は、素材と製法にこだわった結果に過ぎませんでした。

原点との乖離が招いた迷走

しかし、その「優しさ」から生まれたパンは、いつしか「高級ブランド」として一人歩きを始め、投機的なビジネス拡大の道具となってしまいました。創業の原点にあった「誰かの困りごとを解決したい」という純粋な想いと、利益追求に走った拡大路線との間には大きなギャップが生まれています。

この乖離こそが、現在のブランド迷走の根本的な原因なのかもしれません。原点回帰し、再び顧客に寄り添う姿勢を取り戻せるかどうかが、今後の存続の鍵を握っていると言えるでしょう。

まとめ

今回は、乃が美の閉店理由について、FCトラブルや市場環境の変化などの視点から解説しました。急激な拡大戦略の歪みや、競合との差別化失敗など、学ぶべき点は多くあります。一連の騒動を経て、乃が美が今後どのように信頼を回復していくのか、その動向に注目していきたいですね。